上司から強要された詐欺まがい
私はある分析機器の製品開発を担当した。
しかし、上市した製品の性能が良くなかったのだ。
上市前に評価した試作機とは明らか違った。
販売先や営業からも一体どういうことなのかと追求された。
大変な問題であると感じた。
まだ販売台数も少なかったため、私は販売を一旦中止することを提案した。
そもそも、試作機1台で評価して上市を判断するべきではなかった。
個体差があったり、パーツの劣化状態で測定値が変わるため、最低でも5台、できれば様々な劣化状態にした10台分くらいのデータを取得する必要があった。
しかし、前任者と言えるようなスタッフがいない環境、手探りで開発を進めたため、それがわかったのは後になってからのことである。
公表性能と実性能が異なるのに販売することは違法行為である。
しかし、上司は「私が責任とる」と言って、性能のことを誤魔化し、販売継続に踏み切ったのだ。